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Pluto社 市東様 クラウドサービスが拓く新しい家電の使い方

Pluto社 市東様 クラウドサービスが拓く新しい家電の使い方

株式会社Pluto社は「家電のクラウドサービス」を運営するベンチャー企業です。今回はPluto社の立ち上げをされた市東拓郎さんに、ビジネスの発端と、その事業内容、そしてワークプレイスの考え方について語っていただきました。

Pluto社の発端について

大学生の時代にアルバイトしていたベンチャー企業で、i-modeで動かせる家電を自分で作って、同僚に自慢していました。それが面白いということになって、インターンで来ていた3人で検討を始めたところが発端です。それが2010年くらいですが、3人で話し合って得た共通認識は、「家電のウェブサービスはない」ということ。そして、「人と仲良くなることで、生活で便利なのは家電ではないか」ということでした。

検討開始してすぐのころは、大学のゼミで食事をしながら楽しみながら話をしていて、あまり苦労は感じていませんでした。事業化したのは2011年の12月でしたが、それからが大変でした。ただ、会社を立ち上げた直後くらいにTomyKの鎌田さんに出会ったことが我々の幸運でした。鎌田さんからは、会社運営や技術についてのさまざまなアドバイスをいただいています。

 ちなみに、私の専攻はもともと物理学で、社長の金田は航空学を専攻していました。二人とも情報を先行していたわけではないのですが、趣味で電子工作やプログラミングをしたり、様々な電子機器を改造していたりしました。そのため、もの作りに抵抗はなかったのですが、技術的な障害はたくさんありました。我々の手元で動作するものを作るのと、あらゆる環境で動作するものを作ることは全く異なります。たとえば、家庭用のルーターを越えて通信できるか全て試すのは不可能ですし、基板や筐体なども自分たちでは作れても、工場では作ってもらえない、といったこともありました。

家電のクラウドサービス

Pluto社は家電のクラウドサービスを運営している会社です。サービスと一緒にPlutoステーションという、スマートフォンなどで操作可能な家電の赤外線リモコンを販売しており、2012年12月にサービス提供を開始しました。

コンセプトは「家電と友達となりたい」ということです。SNS(ソーシャルネットワークサービス)が発展して、人と人はネットワークで繋がりましたが、人と家電との距離はまだ遠いのが現状です。それらが繋がって仲が良くなることで、生活が便利になると考え、サービスを立ち上げました。

サービスの開始時、製品としては提供していたのはPlutoステーションだけでした。しかし、これだけだと、実際に家電が動いたかどうかが分からないため、Plutoタップリンクの販売も開始しました。PlutoタップリンクはPlutoステーションと連動する電源タップです。消費電力を確認してから家電を操作することができますので、家電の消し忘れの防止などに活用することができます。

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実際の使われ方ですが、実家や別荘など、滅多に行かないところに置くという事例が多いようです。また、興味深い事例としては、ご高齢の方の見守りへの活用です。たとえば、遠隔でエアコンを適正な温度にしたり、テレビなどの消費電力をモニタリングすることで生活を見守ったりといったことです。他にも、テレビのチャンネルを勝手に変えるという使い方もあるようです。(ボケ防止によいとのこと)

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最初のターゲットはワンルームマンションでした。家族暮らしの方で利用される方は少ないと考えたのですが、見守りの例にあるように、そうではないということが分かってきました。ペット向けに利用される方も多くいます。ペットにはウェブ上に強いコミュニティがあるようで、そこから口コミで広がっているようです。

Plutoステーションの設計について

Plutoステーションでは、一般の方に利用して頂くために、本当に使う機能のみを提供するように配慮しました。利用いただいている方は比較的に女性が多いので、極力むずかしい言葉も使っていません。最初の設定も、インターネットにつながるネットワーク(LAN)に接続し、製品に書いてあるシリアルIDを入力するだけで完了します。

赤外線による家電制御や、スマートコンセントによる消費電力のモニタリングなど、類似サービスは出てきていますが、それらとの大きな違いは、ウェブサービスありきで始まっているというところです。そこに設計思想の違いが出ていると考えています。

PlutoステーションやPlutoタップリンクなどの製品は、ウェブサービスにできないことや苦手な事を補完する機能しかありません。赤外線の出力や消費電力の計測など、家電とウェブサービスのI/O(入出力)を担っているだけで、それ以外の機能はすべてクラウドから提供するようになっています。

また、Plutoステーションの設計はすべてフルスクラッチ(既存のものを使わずゼロベースで開発)で行っています。基板や筐体、ウェブシステムに至るまですべてです。たとえば、Plutoステーションはインターネットを介して家電を制御しますが、独自に考案したセキュアな通信仕様に基づいています。不正な操作や通信があった場合、自動的に切断するようになっています。

加えて、家電を制御する赤外線信号は、赤外線リモコンの通信を解析することで、Plutoステーションへ対応できるようにしてきました。現在では2,000機種以上の家電に対応しており、国内メーカーから協力いただく話も増えてきています。

サービスの拡張について

あまりマーケティング的なことはしていないのですが、Plutoステーションの利用者数はどんどん伸びています。販売チャンネルとしてはAmazonや楽天市場があり、主に口コミで広がっているようです。

最近ではスマートハウス向けのプロダクトの販売も開始しました。Plutoステーションのビルトインモデルです。壁面に埋め込めるタイプのもので、各室に置き場所を気にせずPlutoステーションを設置できます。

マンション向けのプロダクトも準備中です。マンションの各戸にPlutoステーションを設置され、入居者がビルトインサービスとして使用できます。消費電力などに応じて管理事務所から集約的な管理サービスも併せて提供予定です。来年以降に竣工するマンションで、数件導入が決まっています。

赤外線で制御できる家電としては、照明、扇風機、エアコン、ビデオプレーヤー、ルンバ、電気錠、お風呂などがありますが、種類としては出尽くしたのではと考えています。そこで、今後はウェブサービスで面白い機能、更なる付加価値を作り出すサービスに挑戦しようと考えています。

たとえば、Plutoステーションは、家電操作を操作するというユーザの直接のニーズやアクションを把握することが原理的には可能です。それらの情報を使うことで、新たなサービスを生み出せるのではと考えています。なお、Plutoステーションのサービスは、すべてウェブサービスとなっているため、クラウドの機能更新をすることで、すべてのサービスを更新・機能向上することができます。

ワークプレイスについて

もともとは、メンバーそれぞれ自宅にこもって仕事をしていたのですが、鎌田さんに投資を受けてからはこのシェアオフィスに移りました。ここには、鎌田さんに関係が深い、Mynd社、Moff社、H2L社、Pluto社の4社が入っています。

情報交換は良くしていて、それぞれ専門が違うために、似たようなことをやるときには、話を聞いたり、聞かれたりといったことが頻繁にあります。最近は、IoTという言葉が流行ってきたので、情報交換をしやすくなってきました。

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しかしながら、どちらかというと私はオフィスで働くのが得意ではないので、開発モードに入るときは、自宅にこもって開発をします。考え事をするときなどは、外を歩いたりはしますが、基本的には自宅の机に張り付いています。それに、とんでもなく夜型です(夜中の3~5時が一番調子良い)。会社のメンバー3人がそんな感じなので、1日24時間の中で誰かしら起きている状態になっています。生活はほとんど重なっていません。

私は、ハードウェアの設計、回路の設計、ネットワークセキュリティが職務なのですが、どの仕事も夜中がはかどります。本当に集中して作業をする必要があるときは、24時間という時間に拘束されたくありません。その時は、頭が続く限り作業がしたい。各々の作業に切れ目があるとダメで、時間の区切りがあると仕事ができません。

ちなみに、何かを考えていて一番アイデアが出るのは、寝る直前の1~2時間の間です。ベッドの前にホワイトボードがありますが、そこで生み出されるアイデアが生きたアイデアで、その他はほとんど死んだアイデアです。また、私は環境に飽きやすいタイプなので、部屋に何カ所もパソコンを使えるスペースを設けています。

我々はオフィス・場所を中心に考えていません。人が増えたら…その時はその時ですかね。

イノベーション・成功の条件

私は、自分がやりたいと思うことをやり続けてきました。小中高と先生との衝突も多かったのですが、そうしたことが今に活きているのかな、と感じています。そうした意味で、ベンチャーの立ち上げに重要なのは、何かを信じて続けること、好きなことを押し通すことだと思います。