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ダイバーシティ経営研究分科会活動報告

ダイバーシティ経営研究分科会活動報告

今、ダイバーシティの何が問題なのか?

近年、女性の活躍、シニアの雇用延長、外国人との協働など、企業のダイバーシティ推進への期待が高まっている。そこでダイバーシティ経営分科会では2014年の活動としてゲストを招いた研究会(凸凹ミックス会議)を4回開催し、ダイバーシティ推進の抱える問題点とオフィスへの影響を探った。

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女性の活躍を妨げている主要な問題は、仕事と子育ての両立という問題である。生活時間の統計をみると、家事、育児のほとんどを女性が負担しており、育休から復帰するとなれば、そこに仕事の負荷がさらに重なり時間的なコンフリクトを抱えやすい。そのため、女性の就業継続には、残業を前提としない働き方が不可欠だ。その上で、場所や時間に関する就業条件をフレキシブルに選択できることや、業務負荷や責任をライフステージに合わせて選択的に変えられることが解決の糸口となる。その上で、男性の働き方も自分中心から家庭にも配慮したものとなれば、女性が働き続けることの難しさは解消されていくだろう。

シニアの活躍を妨げている主要な問題はチームの中での役割期待のミスマッチにある。シニア社員に与えられる小さな役割にモチベーションを下げてしまう、若いマネジャーから見てシニア社員のアドバイスがおせっかいのように感じられる、などのコンフリクトが生じている。チームにおけるお互いの期待を明らかにして、シニア社員の経験知を生かす役割へと転換することが必要となる。

今日のグローバル企業では国籍や性別、人種といった違いがあることを前提として、最優秀の人材を世界中の最適なポジションに登用することで成果を生み出すタレントマネジメントの取り組みが進んでいる。そこで必要なのが、全社で共通するコミュニケーションや意思決定の基盤である。それによって、優秀な人材がどのポジションに移っても、すぐに十分な成果を挙げることができるようになる。このように、ダイバーシティの指す範囲を限定すれば、そこで生じている問題の構造も明らかとなり、解決の糸口が見えてくる。企業は戦略を実現する上で、これまで未活用だった人材の力によって新たな成長機会を得られるのである。

ダイバーシティがオフィス環境に与える影響にはいくつかの方向性がありそうだ。まず、既存オフィスでは、女性への配慮として時間や場所など就業環境のフレキシビリティを提供することや、身障者に配慮したユニバーサルデザインなどワーカーへのケアが行われている。二つ目は既存オフィスと分離する方策。障碍者雇用や外部人材の活用においては、就業条件やセキュリティの扱いに応じてカスタマイズした専用のオフィス環境が構築されている。最後に、グローバル企業などダイバーシティの高い組織では、マイノリティの声をつなぎ、橋渡しをする学習環境がオフィスのなかで確保されている。このようにダイバーシティがオフィス環境に与える影響はユニバーサルデザインに留まらない。これからは、自社のダイバーシティの取り組み範囲から、必要なオフィス環境の条件を明らかにし、整備していくことが、ファシリティマネジャーに期待される。

今後は、追加調査を行いながら組織のダイバーシティに応じたオフィスづくりのポイントをまとめていくことを予定している。